こんにちは。
スター行政書士事務所の山田です。
このブログでは、私がこれまで20年以上高齢者福祉に関わってきた経験と介護職員向けの研修でお話してきたことなどをお伝えしたいと思います。
このブログが、少しでも介護の現場で頑張る皆様のお役に立てれば幸いです。
今日は「認知症は戦う相手?」をテーマに書いていきます。
先日、認知症のお母さんを介護する娘さんから「母は、もっと早い段階で認知症と戦っていれば、今の状態とは違っていたのではないか。」と話がありました。
娘さん曰く、毎日の出来事を日記に書いたり、脳トレドリルを繰り返しやっていれば、もっと認知症が改善したり、進行が遅くなったのではないか、と考えているようでした。
娘さんの言いたいことも分かるような気がします。
もっと脳に負荷をかければ、脳の働きが良くなって認知症が改善したのではないか、と言いたいようです。
私は、医師ではないので、日記や脳トレドリルが認知症の人の脳にどのように作用するかは分かりません。
もしかしたら、娘さんの思っているような結果になっていたのかもしれません。
しかし大切なのは、本人の意思。
周囲がどれだけ「○○やりましょう」といっても、本人がやる気にならなければ苦痛になるだけです。
それは、認知症があっても無くても変わりません。
また、これまで多くの高齢者を見てきて思うのは、認知症は戦うべき相手ではなく、うまく付き合う相手、だということです。
認知症予防のために、脳トレや予防体操などを行うことは決して悪いこととは思いません。
しかし、認知症の最大のリスクは、年齢です。
そのため、人間、生きていれば必ず年を取るため、認知症になる可能性は誰でもあるといえます。
「認知症とは戦うべきだ」と考えている人の場合、「認知症になりたくない」という強い思いが、認知症になった場合、逆に抑うつ状態になったり、家の中に閉じこもってしまったりと、自分の精神状態や日常生活にまで影響を及ぼすことが多いように思います。
「認知症とは上手に付き合う」と考えている場合、仮にうまくいかないことがあったとしても、次に同じ失敗をしないように自分でできることをやったり、誰かの助けを受けたりしながら、「あまり気にせず」に生活を送っているような気がします。
パーソンセンタードケアでは、認知症の状態には、性格傾向が影響すると考えられています。
元々の性格は、認知症になったからといってなかなか変わらないと思います。
また、当事者にしか分からない悩みや葛藤があるでしょう。
しかし、過度に自分の失敗を責めたり、できなくなったことを悲観することはないと思います。
「認知症とうまく付き合う」と考え、周囲の協力を得ながら自分のできることをやっていくことが大切なのかな、と思います。
以上、最後までお読みいただきありがとうございました。