こんにちは。
スター行政書士事務所の山田です。
このブログでは、私がこれまで20年以上高齢者福祉に関わってきた経験と介護職員向けの研修でお話してきたことなどをお伝えしたいと思います。
このブログが、少しでも介護の現場で頑張る皆様のお役に立てれば幸いです。
今日は「老人ホームの職員と家族とのコミュニケーション」をテーマに書いていきます。
老人ホームで働いていると、入居者の家族や成年後見人に連絡をすることがあると思います。
今回は、私が管理者や生活相談員として注意していたこと、成年後見人の立場として連絡を受けるときに気が付いたことなどをお伝えしたいと思います。
先日、グループホームの職員さんから、次のような内容の留守番電話が入りました。
「Aさん(入居者名)のパンとヨーグルトが無くなりそうなので、なるべく早めに持ってきてください。」
このような電話をもらってすぐに思ったのが、
パンは食パン、ロールパン?
ヨーグルトは無糖、味付き?
それぞれ何個必要なの?
きっと職員さんは、Aさんのことを毎日のように見ているので、状況は分かると思います。
しかし、電話を受けた側はAさんの状況が分かりません。
Aさんに関する「情報量が全く違う」のです。
老人ホームの職員が、家族等に連絡するときに気を付けなければならないのが、この「情報量が全く違う」ということです。
入居系サービスの場合、24時間365日施設で生活をしているので、実際家族等は、本人がどのような生活を送っているか分かりません。
些細なことでも連絡するときは、そのことに知っておくことが必要です。
「コミュニケーション」という言葉には、「同じになる」という意味もあります。
情報の送り手(職員)と受け手(家族等)が同じように理解することが大切です。
今回は、パンとヨーグルトのことでしたが、老人ホームの職員さんからの連絡には、例えば「ADL」「バイタル」「PT」など、一般の人には分かりづらい言葉を使う方もいます。
そのような言葉を聞いた家族等のほとんどは、「ADLってどういう意味ですか?」などスタッフに質問することはできないと思います。
ですので、情報の送り手側である職員が、相手にもわかる言葉を使うことが大切です。
また、「少し」「最近」「不穏」などという言葉を使う場合も注意が必要です。
これらは、事実ではありません。
事実としては、例えば、
「少し」→「2割」
「最近」→「1週間前から」
「不穏」→「夕方になると玄関から出ようとする」
となるでしょう。
「少し」「最近」「不穏」という言葉を聞いて、受け手によって解釈が異なります。
人によっては「5割」「1カ月前」「大声を出す」と受け取るかもしれません。
できるだけ解釈による幅を少なくすることが、相手にとっても分かりやすいですし、同じ情報を共有できます。
情報の齟齬は、後でトラブルにもなりかねません。
家族等にご利用者の情報を伝えるときには、
- スタッフと家族等では情報量が全く違う
- 専門用語は使わない
- 事実を伝えるようにする
以上の3点に気を付けるだけで、伝わり方は全く違うと思います。
「家族等が自分と同じになる」ということを少し意識するだけでも、相手に伝わりやすくなると思います。
以上、最後までお読みいただきありがとうございました。