こんにちは。

スター行政書士事務所の山田です。

このブログでは、私がこれまで20年以上高齢者福祉に関わってきた経験や介護保険制度の情報、福祉について考えていることなどをお伝えしたいと思います。

このブログが、少しでも介護の現場で頑張る皆様のお役に立てれば幸いです。

 

今日は「認知症ケアは観察するポイントを意識することが大切」ということについて。

突然ですが、

「いますぐ千円札を書いてみてください」

と言われて正しく書けますか?

私は、研修のときに同じように受講生に書いてもらっています。

そうすると、まず書ける人はいません。

だいたい皆さん50~60点くらい。

受講生同士で見て笑っています。

 

千円札の野口英世がどんな顔をしているか?

裏側は、何の絵?

「1000」はどこに書いてある?

毎日のように見ている千円札なのに、ほとんど書けない。

普段そんなことは意識しないで千円札を見ているので、当然だと思います。

 

これは、認知症ケアでも同じことが言えるのではないかと思います。

 

出勤すれば必ず顔を合わす認知症の人。

主に見る(観察)するのは、体温や血圧、脈拍といった体の状態や転倒しないか、他の人とのトラブルがないか、などといったリスクマネジメントのようなこと。

確かに、それらを観察し、体調管理や事故防止をすることは大切なことです。

 

しかし、そこばかりに観察していませんか。

認知症ケアでは、意識して「他」のところも観察しなければなりません。

 

例えば、表情や言葉。

不安そうな表情やイライラした表情をしていないか。

発している言葉から何かメッセージを伝えようとしていないか。

 

普段バイタルと転倒防止ばかり意識を向けていては、いくら認知症の人が自分のことを発信していても、職員は気づくことができません。

 

認知症は、脳の病気によって自分のことを相手に伝えることが難しくなります。

しかし、認知症になっても、自分の思いを「相手に伝えたい」という気持ちは変わりません。

 

他にも、体調、薬の副作用、生活歴、快や不快に感じていること、音やにおいなどの刺激、価値観などなど、その人のことを「意識して」観察することが大切です。

 

認知症があるご本人のことをわかればわかるほど、それまで「認知症だから」と考えていたのが、「この人だから」と考え方が変わってきます。

 

認知症ケアに近道はありません。

その人のことを理解(理解しようと)することが、認知症ケアの第一歩ではないかと思います。

 

以上、最後までお読みいただきありがとうございました。