こんにちは。

スター行政書士事務所の山田です。

このブログでは、私がこれまで20年以上高齢者福祉に関わってきた経験や介護保険制度の情報、福祉について考えていることなどをお伝えしたいと思います。

このブログが、少しでも介護の現場で頑張る皆様のお役に立てれば幸いです。

 

今日は、「看取りは残された人たちに色々なことを教えてくれる」です。

これまで特別養護老人ホームやグループホーム、成年後見人の仕事を通じて100人以上の方を見送ってきました。

その中で感じたことは、お亡くなりになる方は家族や職員など残された人たちに色々なことを教えてくれる、ということです。

例えば、特別養護老人ホームで看取ったAさん。

Aさんは、他のご利用者がリビングで夕食を食べている時に、自分の居室でひっそりと息を引き取っていました。

特別養護老人ホームでの食事時間は、とても忙しい時間です。

その時にいた職員は、他のご利用者の食事介助をしければならない状況の中で、Aさんの血圧や呼吸の確認、看護師や家族への連絡などAさんの対応でバタバタです。

そのときに出勤していたのは、入職したばかりの職員。看取り対応はほとんどしたことがありません。

とても慌てたと思います。

しかし、大変な経験をすることは、大きく人を成長させます。

Aさんがその職員の出勤の時を選んで最期を迎えたかは分かりませんが、Aさんの看取り対応によって、出勤していた職員は、介護職員としてとても成長できたと思います。

また、事業所としても、「緊急で何があるかわからないから、忙しい時間は、人員配置を厚くしたり他の部署と協力体制を作らないとダメだよ」、と教えられたような気がします。

 

グループホームのBさんの場合。

Bさんが看取り期に入ってから、Bさんの家族は最期に立ち会いたいと毎日面会に来たり、日によっては部屋に泊っていくこともありました。

Bさんと家族が、グループホームの中で一緒に過ごすという生活が2~3週間経った頃でしょうか。

Bさんは、ほとんど食事、水分が摂れなくなり、そろそろ最期に近づいてきました。

もしかすると、2~3日以内に最期を迎えるかもしれない、とご家族は考え、グループホームに宿泊する準備をするため1時間ほど家に戻ることに。

…残念ながら、その間にBさんは息を引き取りました。

ご家族は、最期の瞬間に立ち会えず、一時的に家に帰ってしまったことをとても後悔していました。

しかし、ご家族は時間が経ってから「父は、若いころからとてもしっかりした性格。それは、年をとって、認知症の症状が出てきても変わらない。

もしかしたら、父は、自分の最期の瞬間を家族に見せたくなかったのではないか」と考えるようになったそうです。

Aさん、Bさんのように、人が最期を迎えたという事実に対して、私たち残された人たちは色々と意味づけしているだけかもしれません。

ただ、生前のその人のことに思いを馳せながら、色々なことを考えて、そこから少しだけ学ばせてもらってもいいのではないかと思います。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。