1人暮らしの高齢者が不安に感じていること
内閣府の「平成26年度一人暮らし高齢者に関する意識調査結果」によると、1人暮らしの高齢者は、
- 「健康や病気のこと」58.9%
- 「寝たきりや身体が不自由になり介護が必要な状態になること」(42.6%)、
を不安に感じていることが多いようです。
平成14、19年の調査でも「健康や病気のこと」「寝たきりや身体が不自由になり介護が必要な状態になること」を不安に思う方が多いという結果が出ています。
確かに高齢になれば、健康や介護のことを心配するのは当然のことだと思います。
ただ、1人暮らしの場合、病気になったり、寝たきりになって介護が必要となったときに、
「身近に支援していくれる人がいない」
と心配になる方も多いのではないでしょうか?
高齢者の場合、骨折や肺炎、認知症などケガや病気から介護が必要になるため、「健康や病気のこと」「寝たきりや身体が不自由になり介護が必要な状態になること」は一体として考えることができます。
私は、これまでケアマネージャーや成年後見人として、一人暮らしの方のご相談を受けてきました。
その経験から言えることは、
「認知症や病気などで介護が必要になっても、自分らしく生活している人はたくさんいます!」
ということです。
事例を紹介
ここでは、私が後見人や特別養護老人ホームのケアマネージャーとして関わってきた方の事例を紹介したいと思います。
Iさん
Iさん(女性)は、自宅で生活をしている方です。
元々子供はなく、夫と死別後は一人で生活をしています。
ある日、
「家に中に知らない人がいる!」
と大家さんの所に相談に行ったそうです。
大家さんが家の中を覗きに行くと本人以外誰もいない。
大家さんは、そこで異変を感じ、地域包括支援センターに連絡をしたそうです。
地域包括支援センターとは、市町村や市町村が委託している法人が運営している高齢者の相談窓口です。
包括支援センターの職員の勧めもあり、Iさんは、近くの大学病院へ通院し、レビー小体型認知症と診断されました。
「家の中に誰かいる」と幻視が見えて、不安になることはありますが、自分の中で折り合いをつけて生活している様子です。
友人と電話で話をしたり、天気のいい日は散歩をしたり、認知症があってもご自分らしい生活を送っています。
Tさん
Tさん(女性)は、特別養護老人ホームのご利用者です。
夫とは死別、子どもは結婚し、外に出たため、自宅で一人暮らしをしていました。
Tさんは、元々社交的な性格で、地域の方とカラオケや老人会の活動を行っていました。
その活動中に倒れ、病院に行くと「脳梗塞」と診断されました。
それから半身に麻痺が残り、車いすの生活となったため、自宅に戻ることができず、そのまま施設入所となりました。
最初は、「家に帰りたい。」と相談を受けましたが、徐々に施設の生活にも慣れ、他のご利用者とお話をしたり、在宅にいた時の友人が面会に来てくれるのを楽しみにしていました。
また、Tさんは、自宅にいた時に毎年梅干し作りをしていたこともあり、施設でも職員がTさんに教えてもらって毎年梅干しを作っていました。
最後に
以上、ほんの一例ですが、認知症や脳梗塞などになっても、ご自分らしく生活している方をご紹介しました。
「将来、認知症や介護が必要になったらどうしよう…。」などと、過度に心配せずに、最期まで「自分らしく」楽しみましょう!