こんにちは。
スター行政書士事務所の山田です。
このブログでは、私がこれまで20年以上高齢者福祉に関わってきた経験や介護保険制度の情報、福祉について考えていることなどをお伝えしたいと思います。
このブログが、少しでも介護の現場で頑張る皆様のお役に立てれば幸いです。
今日のテーマは、「認知症の人との関わり方、考え方を少しだけ変えてみる」です。
レビー小体型認知症のAさん
先日、成年後見人として支援しているレビー小体型認知症の方が、特別養護老人ホームに入居したので、その方の自宅の片付けに立ち会いました。
その方が30年以上生活していた家。
洋服や写真、食器など、それはたくさんの物がありました。
そのようなたくさんの物の中に、カピカピになったおにぎりや漬物を乗せたお皿が家の所々に置いてあります。
この方は、レビー小体型認知症の症状で、幻視がありました。
特に、家の中に(実際にはいない)子どもたちが見えていました。
きっと、このお皿はその子どもたちに食べさせようとして置いたのでしょう。
その事実だけ見ると「認知症の症状による」行動、ということになるのかもしれません。
しかし、少し考え方を変えると、その人のやさしさを感じることができます。
「自分の家にいる知らない子どもに食事を出す」
その人ならではのやさしさなのかもしません。
そのように考えると「認知症による行動」というだけではなく、その人らしさの表れということもできるのではないでしょうか。
「お金を返して」というBさん
Bさんは、老人ホームに入居中のご利用者。
その老人ホームでは、紛失防止のため、ご利用者がお金を管理することはできず、お金はすべて家族か施設が管理するというルールがあります。
しかし、そのご利用者は、施設のそのようなルールを忘れてしまい、職員に対して、いつも「お金を返してください」と訴えます。
職員は、その都度
「お金はご家族が持っていますよ」
「この中ではお金を使うことはないのでお金は必要ありませんよ」
などと声掛けをしていますが、なかなか訴えは収まりません。
この方の言動も「認知症による行動」ととらえがちです。
確かに、認知症の症状(記憶障害や判断力の低下)により、施設のルールが分からずそのような訴えを繰り返すのでしょう。
しかし、誰にとってもお金は大切なもの。
きっと、誰もがないと不安になると思います。
そのように考えれば、「お金を返してください。」と訴えるご利用者の気持ちはわからないでもない。
自分が思っていることをそのまま訴えているのです。
「『認知症』のBさんが訴えている」というだけではなく、「『お金を大切にする心配性』のBさんが訴えている」という見方もできます。
認知症の人は、その症状により、施設で決めたルールが分からないことがあります。
施設のルールにご利用者を合わせるのではなく、ご利用者に施設が合わせる選択をした方が、結果としてご利用者や職員の負担が軽減することも少なくありません。
「認知症」という部分だけではなく、「その人」に視点を当ててみると、認知症の対する考え方やケアの内容が少し変わるかもしれません。
以上、最後までお読みいただきありがとうございました。