本日は、相模原市認知症介護実践者研修認知症の人の権利擁護の単元で講師としてお話をしてきます。

昨今、ネットや新聞等で特養やグループホームなど高齢者福祉施設で働く介護職員による高齢者虐待の報道を目にすることが多くなったように思います。

福祉施設の介護職員による虐待は、虐待をされたご利用者にとって身体的にも精神的に弊害が大きく、人としての尊厳をも脅かすことです。

そして、虐待を受けたことのショックは、その家族にも及びます。

また、大きな視点で見た場合、福祉施設の職員による虐待の報道が繰り返されることによって、市民の高齢者福祉に対する信頼がなくなることが考えれ、誰もが安心して介護を受けることができなくなるでしょう。

そのようなことは、誰も望まないことだと思います。

では、職員による虐待を防止するためにはどうしたらよいのでしょうか。

虐待をした職員を罰すればそれで済むのでしょうか。

当然、虐待行為をしてしまった職員は、法的にも社会的にも責任を負うべきだと思います。

しかし、現在、多くの介護事業所では深刻な人材不足に悩まされており、介護職員は、仕事中(もしかしたら仕事が終わっても)常に過度のストレスのかかる環境の中で仕事をしていることと思います。

また、介護事業所を利用している人の中には、認知症の人も多く、職員から虐待あるいは不適切なケアをされても、そのことを記憶して、意見や苦情を言うことができません。

ご利用者やご家族の中には、職員に対して「お世話になっている。」という想いから、なかなか言い出しづらいという背景もあるかもしれません。

私も、特養の生活相談員をやっているときに、ご家族から「介護サービスのことで意見を言いたいけど、言うと母が職員からいじめられてしまうのではないか。」と言われたこともあります。

このような理由から、

「介護現場は、虐待の起こりやすい環境にある」

と言えるでしょう。

「介護現場は虐待の起こりやすい環境にある」ことを前提としながら、不適切なケアを含めた虐待が起こらない事業所にしていくために、何ができのか、実践者研修では、私の20年近い高齢者福祉の経験に法的な視点を加えながらお伝えしたいと思います。