病院に入院するときや、老人ホームに入居するときに緊急連絡先や身元保証人が必要になる場合があります。

では、一人暮らしの高齢者の場合、誰に緊急連絡先を頼んだら良いのでしょうか。

近所の人にお願いできますか?

以前、入院時の緊急連絡先を「近所の仲の良い人がやってくれる」という方がいました。

確かに、近所付き合いが良く、善意で緊急連絡先になってくれるということはとてもありがたいことですね。

しかし、

「近所の方と仲が良い。」

と言っても、その人自身が高齢であったり、病気を抱えていたりする場合も少なくありません。

また、近所の方が善意でやってくれている以上、無理を言って依頼するわけにもいかないと思います。

近所の方にお願いするのは、どこかで限界があるのかもしれません。

任意後見制度を利用する

任意後見制度を利用して、任意後見人(任意後見受任者)が緊急連絡先になることができます。

任意後見制度は、認知症などにより判断能力が不十分な状況になった場合に備えてあらかじめ契約を締結した任意後見人に、自分の財産管理や入退院に関する手続きなどを代わりにしてもらうための制度です。

そして、任意後見契約の内容に、

(緊急連絡先への登録)

甲は、医療契約、入院契約、施設入所契約等の契約の際、緊急連絡先として乙の氏名、連絡先等の情報を、契約の相手方に通知することができる。

(甲:一人暮らしの高齢者、乙:任意後見人(任意後見受任者)、契約の相手方:病院や老人ホームです。)

契約の内容にこのような条項を入れておけば、任意後見人が緊急連絡先となることもできます。

ただし、任意後見契約の内容は当事者間で決めるので、全ての任意後見人が緊急連絡先として名前を出すわけではありません。

身元保証会社

老人ホームに入所するときなど、身元保証人が必要になります。

身元保証人になるような子や親戚がいない場合には、NPO法人などの身元保証をやっている法人に依頼することもできると思います。

まとめ

病院や老人ホームから緊急時の連絡先を求められても、周囲に適当な人がいない方も多いと思います。

緊急連絡先になる人がいないという理由で、「入院ができない」、「老人ホームに入所することができない」といったことは、準備をしておけば避けることができます。

ご心配に思っている方は、一度、専門職として後見業務をしている事務所やNPO法人などの団体に相談してみてはいかがでしょうか?