老人ホームなどの施設に入居するときには、身元保証人を求められることがあります。

この「身元保証人」ですが、法律上の定義はなく、施設よって「身元引受人」などと記載があるかもしれません。

身元保証人の主な役割として

  • 施設利用料の保証
  • お亡くなりになったときの遺体や遺品の引取り、手続き
  • 介護・医療方針の相談

といったことが挙げられます。

この記事では、家族以外の専門職が任意後見人となった場合について書いていきます。

施設利用料の保証

通常の場合、専門職後見人が個人保証をすることはありません。

この場合、施設の理解が得られないこともあるかもしれませんが、本人の資力が十分にあるので、その中で支払いができることを説明し、個人保証を外してもらうことになります。

私は、20年近く特別養護老人ホームで働いていましたが、施設側は入所の前には必ず本人の財産状況を確認するので、利用料を滞納するケースはまずありません。

利用料を滞納する場合は、ご本人の財産を家族が管理しており、施設に支払いをせずに家族が自分の懐に入れていることはありました。

ですので、専門職後見人が本人の財産を管理している場合は、そのような心配はありませんので、ご本人の預貯金、年金額などと照らし合わせて支払いができる金額の老人ホームであれば問題がないと思います。

お亡くなりになったときの遺体や遺品の引取り、手続き

法律上、任意後見契約は本人が死亡したときに終了します。

ご本人が自分の死後の手続も任意後見人に依頼するのであれば、死後事務の委任契約を結んでおく必要があります。

医療方針の相談

人は必ず最期を迎えます。

その時に医療との関係でしばしば問題になることがあります。

具体的には、

「口から食事が食べれられなくなったときに胃ろうを希望するか」

「緊急時に気管切開など処置を希望するか又はそのまま自然な形で最期を迎えるか」

などです。

ご本人がこのような状態では、どのような医療行為の意向があるのか確認することができないことが多いため、ご本人の代わりに医療行為の決定をする人が求められます。

任意後見人や施設職員には医療の同意はできません。

これは、私の場合ですが、ご本人の判断能力がしっかりしているときに、どのような医療行為を望むか、あるいは望まないかを確認しています。

そして、ご本人がそのような状態になったときは、医療・介護スタッフにご本人の意向を伝え、その上で、ご本人にとって最適な医療行為を検討していくことになります。