本来、手術などの医的侵襲行為は、患者本人の同意が必要になります。

患者本人が自らが受ける医療について納得した上で同意することは、インフォームドコンセントの視点からも重要なことです。

患者本人が同意をするためには、同意をする能力が必要です。

しかし、成年被後見人は、認知症などが原因で判断力が低下しており、医療行為の同意能力がない場合が多いと思います。

この場合、成年後見人に、医療行為の同意権があるかが問題となりますが、成年後見人には同意権はないとされています。

その理由として、医療行為の同意は、一身専属性の強い行為であるということが挙げられます。

つまり、体に傷をつけるような行為は、他の人が判断することは性質上合わないと考えられています。

では、インフルエンザの予防接種といった医療行為についてはどうでしょうか。

本来、注射も医療行為にあたり、同意が必要です。

しかし、同意がないために、被後見人が必要な医療を受けられず、そのまま何もしない、ということはできません。

そこで、予防注射や検査のための採血等軽微な医療行為については、成年後見人の療養看護の職務の範囲内の行為として同意することも認められていいのではないかと考えます。