契約締結能力

任意後見契約は、本人に契約を締結する能力(判断能力)が必要になります。

もし、認知症などにより、契約の内容を理解出来ない状態で締結した契約は無効となります。

では、契約締結能力の有無はどのように判断するのでしょうか。

任意後見契約の本人は、高齢のことも多いと思います。

高齢者にありがちな年相応の物忘れがあるだけでは、「判断能力なし」ということにはなりません。

問題になる場面は、ご本人が認知症の症状がある場合です。

認知症とは、さまざまな原因によって脳の病的変化が起こり、それによって認知機能が低下していくもので、認知機能の低下が原因で日常生活に支障をきたす状態のことを言います。

「さまざまな原因」には、アルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症などがあります。

そして、原因疾患によって認知症の症状が異なります。

例えば、アルツハイマー型認知症では、記録障害や判断力の低下が目立ちますが、レビー小体型認知症では、幻視やパーキンソン症状の出現が見られます。

ですので、認知症の原因疾患はもちろん、日常的な本人の言動や生活状況、財産管理の状況などから総合的に契約締結能力の有無を判断することが重要になると思います。

その為には、一緒に住んでいるご家族や主治医、日常的に接している介護サービス事業所の職員、ケアマネージャーなどから意見を聞くことになります。

判断能力に疑義がある場合

任意後見契約締結時の判断能力に疑義が生じた場合は、どうようにご本人の保護を図るべきでしょうか。

現在の後見制度では、判断能力の有無に疑義が生じたからといって、任意後見と法定後見を同時に利用することはできません(任意後見法4条2項、10条3項)。

任意後見契約には「即効型」といって、契約締結後すぐに効力が生じる契約類型もあります。

しかし、契約締結時に判断能力の低下がみられるようであれば、任意後見契約では契約の有効性が問題になることが懸念されます。

したがって、任意後見契約ではなく、法定後見制度を利用する方が良いのではないかと思います。

一つの目安として、成年後見制度-法と理論の実務(新井誠、赤沼康弘、大貫正男編)によると

①本人が自分の財産を把握呈して、説明できること

②財産管理を委任する、という意味を理解していること

③財産管理の報告書を呼んで理解し、そこに記載された内容を現存する財産や現実の収支を照らし合わせることができること

を挙げています。

また、実務上は、法定後見制度の補助程度の能力があれば、任意後見契約における契約締結能力が認められるものとされています。

 

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