こんにちは。
スター行政書士事務所の山田です。
このブログでは、私がこれまで20年以上高齢者福祉に関わってきた経験と介護職員向けの研修でお話してきたことなどをお伝えしたいと思います。
このブログが、少しでも介護の現場で頑張る皆様のお役に立てれば幸いです。
今日は「認知症になりたくない理由」について。
先日、まったく福祉とは関係のない仕事をしている知人と話していたら、「自分は歳をとったら、認知症になる前に死にたいよ」というようなことを言っていました。
ここまでは考えるのは、極端かもしれませんが、「認知症になりたくない」と考えている人も多いのではないかと思います。
私はこれまで、特別養護老人ホームや成年後見人として、多くの認知症の方と関わってきました。
では、その方たちの多くが常に死にたいくらいの精神状態かと言えば決してそのようなことはありません。
確かに、認知症の症状により記憶障害や人やモノ、時間などの感覚が分かりづらくなるなどの症状で、日常生活を送るうえで困ることは出てくるでしょう。
しかし、その人の周りに支援してくれる人がいれば、その困りごとも解消されることが多いと思います。
認知症ではない人が「自分は認知症になりたくない」と考える理由として、「認知症になると何も分からなくなる。何もできなくなる。」という誤った認識があるのではないかと思います。
認知症ケアの現場で働く人たちの中にも、そのように考えている人もいるでしょう。
しかし、実際はできなくなったところ(「お金の管理ができなくなり、通帳をなくしてしまう」、「箸やスプーンのことが分からなくなり手づかみで食事を食べる」など)ばかり目が行ってしまうだけで、今までと同じようにできていることもたくさんあります。
先ほどの例でいうと、
- 通帳は大切なものだとわかる。
- 通帳がなくなったことがわかる。
- 通帳がどのようなものかわかる。
- 通帳が見当たらないことを他の人に伝えられる。
などなど。
また、食事を手づかみで食べる人だって、
- お腹が空いているのが分かる。
- 目の前にある物が食べ物だと分かる。
- 掴むことができる。
- 掴んだものを口まで運ぶことができる。
- 口に入れた物を噛むことができる。
などなど、箸やスプーンのことが分からなくなっただけで、今までと同じようにできることはたくさんあります。
認知症の一番のリスクは年齢です。
年齢を重ねるごとに認知症になりやすくなります。
ということは、誰もが認知症になるリスクはあるわけで、決して特別なことではありません。
「自分だけは絶対に認知症にならない」
なんてことはできません。
誰もが認知症になる可能性があるからこそ、認知症を自分事として考え、「認知症になると何も分からなくなる、何もできなくなる」といった偏った見方から、「認知症になっても今までと同じようにできることはたくさんある。」というように、少しずつでも考え方を変えていくことが大切だと思います。
以上、最後までお読みいただきありがとうございました。