任意後見を利用している人が法定後見へと移行することができるでしょうか。

任意後見契約に関する法律に定めがあります。

任意後見契約が登記されている場合には、家庭裁判所は、本人の利益のため特に必要があると認めるときに限り、後見開始の審判をすることができる。(10条1項)

ご本人の自己決定の尊重の観点から、任意後見から後見後見に移行できる場合を「本人の利益のため特に必要があると認めるとき」に限定し、任意後見を優先しています。

では、「本人の利益のため特に必要があると認めるときに限り」とはどのような場合をいうのでしょうか。

主に次のような場合が考えられます。

①ご本人が何度も悪徳業者の被害に合っているなど、ご本人保護のために取消権(民法9条本文、13条4項、17条4項)が必要になった場合。

②ご本人が任意後見人に与えた代理権の範囲より、多くの代理権が必要となった場合。

③任意後見人の報酬が過度に高額である場合。

④本人と任意後見人との関係が著しく損なわれた場合。

等が挙げられます。