こんにちは。
スター行政書士事務所の山田です。
このブログでは、私がこれまで20年以上高齢者福祉に関わってきた経験や介護保険制度の情報、福祉について考えていることなどをお伝えしたいと思います。
このブログが、少しでも介護の現場で頑張る皆様のお役に立てれば幸いです。
今日のテーマは、「認知症ケアでは、相手に対して最初の一言目が大切」です。
例えば、
- 車いすから1人で立ち上がろうとしている人に対して、「危ないから立たないで」と声掛け。
- 「家に帰りたい」という人に対して、「今日はここに泊っていってください」と声掛け。
どちらの声掛けも、介護者は、ご利用者のために必要なことだと考えてそのような声掛けをしているのだと思います。
しかし、ご利用者側から考えたときにはどうでしょう。
「危ないから立たないで」
「今日はここに泊っていってください」
という声掛けは、どちらも自分のやりたいことや思っていることを否定されたように感じるのではないでしょうか。
認知症の人の限らず、自分のやりたいことや考えていることを否定されることは嫌なことです。
認知症の人でもそれは変わりません。
介護者が相手のために必要だと思ってした声掛けでも、認知症の人にとっては、嫌な思いだけが心の中に残るかもしれません。
では、どのように声をかけたらいいのでしょうか。
このブログのタイトルに書いたように、まずは、最初の声かけが肝心。
否定せずに、まずは理由を尋ねてみてはどうでしょうか。
このように書くと、
「認知症の人に理由を聞いたところで、正しい答えが返ってくるわけがない」
といった意見があるかもしれません。
確かに認知症の症状として「失語」があり、言葉の意味が分かりづらくなっている人もいます。
そのような方は自分が考えていること、思っていることを相手に伝えることが難しくなっています。
しかし、理由を聞いてみれば、うまく伝えられないかもしれないけど、言葉の端々や表情からなにか読み取れることがあるかもしません。
この、何か読み取ろうとする姿勢が認知症ケアの専門性ではないかと思います。
また、介護者が考えている「正しい答え」がなくても良いのではないかとも思います。
もしかしたら、認知症の人の行動を否定せずに、理由を聞きながらコミュニケーションを取ることで相手の心は満たされるかもしれません。
最初の例でいうと
「危ないから立たないで」→「どこに行くんですか?」
「今日は泊まっていってください」→「家に帰りたいんですね、なぜ帰りたいんですか?」など。
「認知症」の人の対応ではなく、認知症の「人」に焦点をあてれば、最初の声掛けは自然と否定はしないようになるのではないかと思います。
以上、最後までお読みいただきありがとうございました。