先日、老人ホームに入居した被保佐人のAさん(85歳)の借りていたアパートの片付けに立ち会いました。

そこは、Aさんが30年以上住んでいたアパート。

Aさんは、物を大切にする人だったようで、家の中にはとてもたくさんの物がありました。

片付け作業に来てくれた業者さんは3人。

丸1日かけ、やっと終わりました。

すべて片付けたときは、2トントラック4台分の荷物。

業者の方曰く、一人暮らしの高齢者にしてはとても多いとの事。

荷物の中には、家電製品や食器、衣類など生活に必要なものだけではなく、若いころ旅行に行った時の写真や親族の結婚式に出席したときの引き出物、何十年も前の新聞の切り抜きなど、たくさんのAさんの思い出の品が出てきました。

私はAさんと知り合って約2年です。

ご本人や包括支援センターの職員と話をして、Aさんのことは「大体」分かったつもりでいました。

しかし、それらのものを見ていると、私が知っていたAさんのことなど、ホンのごく一部。

「大体」分かったような気がしていたのが恥ずかしくなるくらい、実は知らないことばかりだと気づきました。

また、廊下の隅には、カピカピに乾燥したおにぎりと漬物のようなものがお皿の上に置いてあります。

Aさんは家にいたときによく「家の中に私の知らない小さい子どもがいて困っている」と、話していました。

レビー小体型認知症の典型的な症状である幻視によって、実際にはいない人が見えていました。

きっと、そのカピカピになったおにぎりは、Aさんだけに見えているその子どもに食べてもらうおうとして置いたものなんだろうと思います。

 

Aさんの家の片付けを通して、Aさんから「あなたは私のことを全然知らないよ、知った気になるな。」と教えられたような気がします。

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました。