こんにちは。
スター行政書士事務所の山田です。
このブログでは、私がこれまで20年以上高齢者福祉に関わってきた経験や介護保険制度の情報、福祉について考えていることなどをお伝えしたいと思います。
このブログが、少しでも介護の現場で頑張る皆様のお役に立てれば幸いです。
今日のテーマは、「老人ホームは動物園みたい」といっていた職員Aさんの話。
Aさんは、福祉系の専門学校を卒業して入職した20歳の職員。
そのAさんが初めて勤務したのは、ユニット型特別養護老人ホームでした。
そこには、10人のご利用者が生活を送っていました。
Aさんは、福祉系の専門学校に行っていたため、介護福祉士の実習で数回、老人ホームなどの福祉施設で実習をしたことがあります。
しかし、Aさんが初めて勤務した老人ホームで感じたのは「ここは動物園みたいですね」。
私が生活相談員をやっていた時に、Aさんから言われた言葉です。
Aさんが勤務するユニットでは、一人で食事が摂れずに介助が必要な方、認知症がありトイレや入浴の介助をしようとすると「やめて!」と大きな声を出す方、目が悪く目の前に人がいると思っていつも一人でブツブツ言っている方などがいました。
このような方々を見て、Aさんは「動物園みたい」と感じたのかもしれません。
その影響もあったのでしょう、
Aさんは、自分の祖父母と同じくらいの年齢のご利用者に対してほとんど敬語は使わず、いわゆる゛タメ口゛を使っていました。
Aさんが働いていたユニットの上司が丁寧に教えたり、職場内外での認知症研修やユニットリーダー研修などの受講することによって、徐々にAさんに変化が見えてきました。
それは、言葉使いだけではなく、ご利用者や他の職員から見たときの安心感のようなものでしょうか。
言葉では表せないようなところにも大きく変わったように思います。
そして、入職してから5年位経った頃、Aさんは福祉関係のイベントの中で、学生を対象に自分の特別養護老人ホームでの経験を話す機会が来ました。
大勢の人の前で話をするのはとても緊張したと思います。
用意した原稿を見ながら、これまでの特別養護老人ホームでの自身の経験を話していると、Aさんは、突然泣き出しそうな表情になりました。
それから最後まで涙をこらえながら一生懸命話をしています。
後で話を聞くと、過去の出来事を話していると、突然ユニットのご利用者の顔が浮かんで涙が出てきそうになった、ということでした。
最初は、ご利用者を「動物」、と言っていたAさん。
入職して10年以上経った今では、ユニットリーダーとして、他の事業所から来る実習生や新人職員を教える立場になり、日々介護の仕事を頑張っています。
上司の教育、事業所の雰囲気などの環境によって職員は大きく成長する。
それを教えてくれたAさんでした。
最後までお読みいただきありがとうございました。