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【認知症ケア】施設に入居している人の暴力行為

有料老人ホームや特別養護老人ホームなどの施設で働く人の中で、認知症の人の暴力に困っている人はいませんか?

声のかけ方を工夫しても対応する職員を変えてもうまくいかない。

私も、介護職をやっていたときは叩かれたりつねられたりした経験があります。

その当時は、認知症の人から暴力を受けるもの介護職として仕方のないことだと思っていました。

しかし、それは誤った考え方。

なぜなら、暴力を振るわれる人は当然ながら、認知症の人も暴力を望んでいないと思うからです。

認知症ケアの正しい知識を学んでからは認知症の人から叩かれたりすることは減りました。

この記事が、老人ホームで働く人のお役に立てれば幸いです。

暴力の場面を振り返る

まずは、下の資料をご覧ください。

認知症の人の暴力が出る場面として、施設ではこのような場面が多いのではないかと思います。

私は20年位特別養護老人ホームやグループホームなどの高齢者施設で働いてきましたが、認知症の人から突然、叩かれたり噛みつかれることはありませんでした。

むしろ、こちらが介護を提供しようとした場面で、叩かれたりつねられたり。

暴力が出るまで、相手の言うことを聞かずに一方的に介護をする。

相手の言葉(「結構です」「家で入ります!」)を¨拒否¨という一言で片づけてしまい、相手の声に耳を傾けてないのではないでしょうか。

認知症の人の特徴

認知症になると暴力行為が出るのでしょうか。

半分正解で半分誤りといえます。

次の図をご覧ください。

これは、認知症の人の中核症状と暴言・暴力などのBPSDの関係を説明した図です。

認知症の人は、脳の病気によって中核症状と言われる、記録障害や見当識障害(人や時間、場所が分からない)、判断力の低下などの症状が出現します。

これに様々な要因(体調不良、生活歴、不安・不快感、周囲の環境、ケアの方法など)が影響して、BPSDと言われる暴力行為などにつながります。

例えば、特別養護老人ホームを利用している認知症の人の中核症状として記憶障害があるとします。

記憶障害があるため、なぜ特別養護老人ホームに入居したか記憶にありません。

記録障害のない人の場合、『自分が自宅で生活することができなくなったから特別養護老人ホームを利用することになった。』と理解しています。

ここが大きな違いです。

記憶障害のない人と同じように「今日は、お風呂に入る日だからこれから行きましょう。」と声をかけても「家に帰って入るから結構です。」「昨日入ったから(実際は入ってないのに)今日は入りません。」と断られることがあるでしょう。

施設の特徴

現在、多くの老人ホームでは人材不足に悩まされています。

決められたスケジュールに沿って、業務をこなさないと終わらない。

早く終わらせないと他の職員に迷惑をかけてしまう。

このような状況で、事業所が決めたスケジュールに認知症の人を当てはめようとする場合、どうしても無理が生じます。

先ほどお伝えしように、認知症の人の特徴として、記憶障害や見当識障害(場所、人、時間が分からない)、判断力の低下、などがあります。

介護者が決められたスケジュールに沿って認知症の人に「お風呂に入りましょう。」「トイレに行きましょう。」と言っても、認知症の人からすると「なぜここでお風呂に入らないといけないか?」「なぜ、この人は自分に『トイレに行こう』と言ってくるのか」ということがわからないことも多いと思います。

認知症の人の暴力を考えるときの視点

認知症の人の暴力を考えてみましょう。

ここでは、3つの視点をお伝えします。

①暴力前の認知症の人の言動に着目する

最初に見ていただいたスライドでは、認知症の人は暴力行為に至る前に、「結構です。」「家で入ります!」という言葉を発してます。

表情も不快な表情だったかもしれません。

介護者は、自分のやらなければならな業務(入浴してもらわないと…、オムツ交換をしないと…)が優先になり、認知症の人が発するメッセージに意識が向かないこともあるのではないかと思います。

認知症の人は、お風呂に入りたくないのに色々な人から声をかけられ、イライラしてその結果、暴力行為につながったのではないかと考えられます。

介護者が良かれと思ってやっていることの中に、認知症の人にとっては苦痛になっていることもあるのかもしれません。

「認知症だから暴力が出た。」ではなく、「同じことをされたら自分でもイライラかも。」

認知症の人の置かれている環境を自分に置き換えてみて、苛立つ理由がなんとなくでも理解できれば、ケアのやり方も変わってくるのではないでしょうか。

②認知症ケアは時間がかかることを理解する

認知症の人は、記録障害、見当識障害などによって、人やモノに慣れるまでに時間がかかります。

認知症ケアも当然そのことを前提として考えなければなりません。

どうすれば、¨拒否なく入浴してくれるか¨、¨どうすれば暴力がでないように排せつ介助ができるか¨などと、ついウルトラCのような声掛け、対応方法を探してしまいがちです。

しかし、認知症ケアでは、丁寧にコツコツ時間をかけてその人の事を理解し、安心してもらえる存在になることが大切だと思います。

その結果、認知症の人、介護者共によりよい生活が送れることと思います。

③ケア振り返る

認知症の人の暴力があった時には、なぜ怒らせてしまったのか、自ら・事業所のケアを振り返ること大切です。

先ほども書いたように、老人ホームなどの施設は慢性的な人材不足。

常に時間に追われながら日々の業務を行っているため、自らのケアを振り返る時間が取れないことも多いのではないかと思います。

「暴力にどう対応するか。」ではなく、「なぜ暴力が出たか。」

この視点で振り返ることが大切です。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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プロフィール

スター行政書士事務所 山田拓郎
1999年に社会福祉法人に入社し、特別養護老人ホームの介護職・生活相談員・ケアマネージャー、グループホーム管理者として勤務。

「一人ひとりが輝ける社会の実現を目指す」をミッションにスター行政書士事務所を開業。現在は、福祉事業所の開業支援や任意後見人として活動している。認知症ケア・虐待防止研修等の講師実績多数。

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