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【介護職員向けブログ】認知症ケアのヒント事例

こんにちは。

スター行政書士事務所の山田です。

このブログでは、私がこれまで高齢者福祉に関わってきた経験や、介護職を対象にした研修でお話してきたことをお伝えしたいと思います。

少しでも介護の仕事をしている方の、お役に立てれば幸いです。

 

今日は、認知症ケアの事例について。

これは、特別養護老人ホームの入居者Aさんの事例です。

Aさんの事例が、認知症介護でお悩みの方の何かヒントになればと思います。

脳血管性認知症のAさん(男性)。

特別養護老人ホームに入居して約1年が経ちます。

Aさんは、左半身の麻痺があり、一人で車いす⇔ベッドの移乗ができず、職員が移乗の介助を行っています。

このAさん、移乗介助の際、職員をつねる、叩くといった行為があり、会議で「対応策」を検討しました。

その中で出た意見は、Aさんがつねったり叩いたりしないように、一人の職員が後ろからAさんの手を抱えているうちに、もう一人の職員が下半身を支えて移乗をしましょう、という意見。

多くの職員がこの方法に賛成しています。

誰だってつねられたり叩かれたりしたくはない、そのために、Aさんの手が出ないように二人介助で移乗をしよう、という意見です。

確かに、誰でもつねられたり叩かれたりしたら嫌な思いをするのは当然です。

このような対応方法を考えることは理解できます。

その会議の中に、認知症介護実践者研修を修了した職員がいました。

認知症介護実践者研修は、都道府県や政令指定都市が実施する、介護に関する実践的な知識及び技術を修得するための研修です。

その職員が、他の職員に投げかけました。

「なんでAさんは手が出るんですかね?」

この言葉に、参加していた人は一瞬沈黙します。

きっと、先ほどの「対応策」は、職員側からの視点で介護のやり方を考えた結果。

「なぜ、手が出るのか?」というAさんの立場での視点が欠けていたのかもしれません。

参加していた職員は、少し考えて、

「もしかしたらAさんは、自分で体を動かすことができないから、職員が移乗することに恐怖があるのではないか?」

「そもそも、移乗するということが分かっていないで、職員が一方的にやっているだけではないか?」

「Aさんは寝ていたいのに、職員の都合で起こしているからではないか?」

「移乗する前にAさんにしっかりとそのことを伝えていなかった」

「Aさんは、失語(言葉の意味が分からなくなる症状)ため、職員が発する言葉の意味が分からないのではないか?」

など、さまざまな意見が出てきます。

その結果、

「移乗する前にしっかりとAさんに分かってもらおう」

「今までの話し方で伝わらなければ、もっとゆっくり話してみよう」

「言葉ではなく、身振り手振りを交えて伝えてみよう」

「視線を合わせて話してみよう」

という援助方法が決まりました。

最初の話し合っていた内容は、

「Aさんの手が出ないように二人介助で移乗をする」

です。

大きくケアが変わりました。

そして、試行錯誤しながら実践したところ、時間はかかりましたが、Aさんの手が出ることはかなり少なくなりました。

「認知症の人の立場に視点を変えたことでケアが変わる」

Aさんから学ばせてもらったことだと思います。

 

以上、認知症ケアの事例について書いてみました。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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プロフィール

スター行政書士事務所 山田拓郎
1999年に社会福祉法人に入社し、特別養護老人ホームの介護職・生活相談員・ケアマネージャー、グループホーム管理者として勤務。

「一人ひとりが輝ける社会の実現を目指す」をミッションにスター行政書士事務所を開業。現在は、福祉事業所の開業支援や任意後見人として活動している。認知症ケア・虐待防止研修等の講師。

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