介護の現場はいつも忙しい現場です。
これは、私が介護の仕事を始めた20年以上から変わっていません。
自分たちで考えた仕事だけではなく、他部署から頼まれてやる仕事
介護現場は、どんどんやる仕事が増えていきます。
しかし、反対に仕事を減らすことは少ないように思います。
何をやるかやらないか、判断しないと現場は忙しくなるばかりです。
もしかしたら、これまでの介護職のイメージは、忙しく動き回って仕事をテキパキとこなすのが仕事のできる介護職といったイメージがあるのかもしれません。
忙しく動き回って、汗をかき適度な疲れを感じる。
とてもいい仕事をしているような感じがする人も多いのではないでしょうか。
私もその一人でした。
一回夜勤に入れば、50回以上の排泄介助をし、早番が出勤する朝の7時までには、30人近い利用者全員を一人で起こす。
ずっと、そのような介護をしてきました。
しかし、本当にこれで良いでしょうか。
介護の仕事をしている方は、「利用者本位」という言葉を聞いたことがあると思います。
昔から言われている「利用者本位」。
利用者本位という言葉は、「理想だ。」「職員数が足りないから。」という理由で、「どうせできない」と思われているようです。
忙しい現場だからこそ起きてしまう思考停止。
きっと多くの介護現場はこのような状況なのではないかと思います。
「利用者本位」を実現するためには、当然、職員が利用者と関わる時間が必要になってきます。
介護の仕事を大まかに分けてみると、
①運営基準等で決められた利用者と関わる業務(食事や排せつ、入浴、着脱介助など)
②利用者と関わらない業務(記録や申し送り、掃除、物品の注文など)
とすることができると思います。
①②の業務は当然大切。
しかし、①②だけに時間をかけてしまうと、それ以外の時間で利用者と関わる時間が取れません。
早番、日勤、遅番、夜勤で自分たちの仕事をすべて洗い出して、本当に必要があるのかを検討することが大切です。
何が必要か必要でないかに迷ったときは、法人の理念や介護保険法の理念(自立支援や尊厳の保持)に立ち返ってみてもいいかもしれません。
忙しい現場で、利用者のことを「人」として見れなくなり、やりがいをなくし介護の現場を去っていく人を何人も見てきました。
「できるけどやらない」ということを決めて、少しでも余裕のある業務設計ができたら、職員も利用者も意義のある一日が送れるのではないでしょうか。
「できるけどあえてやらない」。
介護の現場では、この考え方が大切だと思います。