10月15日、認知症介護実践者研修でお話をさせていただきました。

実践者研修でお話をさせていただくのは、コロナウイルスの影響で、約10カ月ぶり。

講師、受講生が全員、マスクとフェイスシールドを着けての研修です。

受講生も慣れないと思いますが、私も初めて。

話しているとフェイスシールドが曇ってとても戸惑ってしまいました。

今回、お話をさせていただいた内容は、

「認知症の人の権利擁護」

その中で、「(食事を無理に口に入れるなど)介護者が良かれと思ってやっていることが、実際は、ご利用者のためになっていないこともある。」といった話をしているときに、受講生の方から「自分が働いている特養では、レクの声掛けをしても拒否する人がいる。自分は、本人が参加しない、と言っているんだから、参加しないでいいと思っているが、他の職員は「夜、眠れなくなるから。」とレクに参加させている。どちらがいいんでしょうか?」と質問がありました。

老人ホームで働いていた経験からすると、よくある場面だと思います。

自分が考える答えは「参加しなくて良い。」です。

なぜなら、答えは自分ではなく、利用者さんが言っているから。

ご利用者が「参加したくない。」とはっきりと伝えているに、参加してもらうためには、何か明確な理由が必要になるでしょう。

その職員は「夜眠れなくなるから。」を参加してもらう理由にしていますが、理由としてはかなり弱いのではないでしょうか。

そのレクに参加しないことによって、本当に夜眠れなくなるのでしょうか。逆に嫌がっているレクに参加することで、夜眠れるようになるのでしょうか。

本来は、夜寝ても寝なくても本人の自由であるはず。

ただそれでは、昼夜逆転してその人の生活に支障が出てきてしまう。

そのことを懸念して、そのご利用者のためにその職員は、レクに参加してもらおうとしているとしているのだと思います。(不眠の利用者さんに対応しなければならない夜勤者のためという一面もあると思いますが…。)

ただ、もしかしたら、「あなたのため」と思ってやっていることが、本人のためになっていないことがあるかもしれません。

相田みつをさんがこのようなことを言っています。

『親切という名のおせっかい そっとしておく思いやり。』

まさに介護の現場でも当てはまるのではないかと思います。