面会はしばらく遠慮してください?

先日、知人から、

「この前、母がグループホームに入居したけど、契約の時にグループホームの職員さんから『お母さんが慣れるまで面会はご遠慮ください』と言われた。」

と話を聞きました。

きっと「面会はご遠慮ください。」という理由は、

・面会を終えて家族がいなくなった後、認知症のご利用者が寂しい思いをするのはかわいそう。

・ご利用者が「家に帰る。」と落ち着かなくなったときに対応する介護職がいないため、介護職の負担が大きくなる。

といった所でしょうか。

上記以外にも、面会を遠慮してほしい理由は色々とあると思いますが、自分は、

「ご家族に積極的に面会に来てほしい」

と考えます。

実際に、特養の生活相談員やグループホームの管理者をやっていたときには、ご家族にそのようにお願いしていました。

なぜか。

理由は単純。

「ご利用者が会いたがっているから。」

これだけです。

ご家族には「ご本人は、知らない場所に来てしまって、慣れるまでに時間がかかります。それまでは、できるだけ面会に来てほしいし、ご本人が家族の事を気にしたときは、いつでも電話ができるようにしてほしい。」といつもお願いしていました。

働いていた特養やグループホームは、ご家族が宿泊することもできたので、ご家族の中には、パジャマ、布団を持ってきてご本人の部屋に泊まり、そのまま仕事に行く人もいました。

ご利用者からすれば、まさに「家」です。

施設にお邪魔しているお客様ではなく、「自分の家」。

施設は、ご利用者にとって「自分の家として、安心できる場所、リラックスできる場所」になることが、とても大切なことだと思います。

利用者が寂しがるのは悪いこと?

寂しいと感じることは人として当たり前。

日常生活を送っていれば、誰にでも起こり得る感情です。

それをなくそうすることが果たして必要なのかな、と思います。

しかし、介護の仕事をしている人の中には、風船バレーやカラオケをしてご利用者と一緒に楽しい嬉しい思いをしてもらうことは良いこと。

寂しい思いをさせることは悪いこと。

このように考えている人がいるかもしれません。

しかし、悲しい、寂しい、といったマイナスの感情も受け止め、その人の立場になって考える。

これが「寄り添う」ということになるのではないでしょうか。

認知症の人が落ち着かなくなったら業務が大変

そのような声は多いと思います。

面会の場面だけではありませんが、介護職員だけではとても対応しきれない。

このような場合は、多職種も含めて、施設全体で考えていかなければならないと思います。

私も特養の生活相談員をやっていた頃は、よく介護職員や看護師から

「○○さんが落ち着かないから来て。」

と連絡がありました。

面会の場面だけではありませんが、施設全体でケアを実践することが大切だと思います。