ケアマネ・行政書士の山田です。
これまで約19年特養や認知症対応型グループホームで仕事をしてきて、認知症ケアが上手だと思う人が実践していることを3つにまとめてみました。
この記事が認知症ケアで悩んでいる人の役に立てれば幸いです。
認知症ケアが上手な人がやっている3つの対応
- コミュニケーションが上手
- 業務を優先しない
- 「認知症」ではなく「その人」をみている
コミュニケーションが上手
認知症ケアの上手な人は、コミュニケーションが上手な人が多いと思います。
コミュニケーションが上手というのは、普段から、認知症の人が「喜ぶ声掛け」をしているということです。
例えば、認知症の人が他の利用者の車いすを押そうとしているのを見かけた時、あなたならどのように声をかけますか?
認知症ケアの上手な人は、「ありがとうございます、私が代わりにやりますね。」などと、最初に相手が喜ぶ声掛けをしていると思います。
それ以外でも、「その服、かっこいいですね。」「ゆっくり食べてください。」などと相手が喜ぶ声掛け、安心できる声掛けをしていることが多いと思います。
逆に「認知症ケアが苦手」と感じている人は、「危ないからやめてください!」などと大きな声を出したり、「まだ食べ終わらないの。」と怖い顔で言ってしまったりしていませんか。
業務を優先しない
例えば入浴。
特養や老健、デイサービスなどでは、曜日や時間によって入浴のスケジュールが決まっていることも多いと思います。
このスケジュールに認知症の人を当てはめようとしてもうまくいかないことがあります。
そんなときに、何とかごまかしたりしながら入浴をしてもらおうとするかもしれません。
最終的には、無理やり服を脱がそうとして、本人が怒りだしたり、最後まで拒否したりということもあるのではないでしょうか?
認知症ケアの上手な人は、「この時間に○○をしなければならない。」と、業務に認知症の人を当てはめる、というよりも、本人が入りたいタイミングで入浴してもらうなど、「認知症の人に業務を合わせる」と柔軟に考えられるのではないかと思います。
デイサービスを利用している方のご家族からは「家で入浴をしないから、デイサービスで入浴をしてほしい。」と希望があるかもしれません。
「介護のプロだから、家ので入浴しない人でも入浴してもらうことができる」ということにこだわらず、「介護のプロだから、認知症の人との関係性を作るには時間がかかる。」ということも、ご家族に理解してもらうことが大切だと思います。
「認知症」ではなく「その人」をみている
認知症ケアの上手な人は、「認知症だから」というより「その人だから」といった視点を大切にしているように思います。
認知症は脳の病気により、記録障害や場所や人、時間が分からなくなるなど、以前出来ていたことができなくなります。
しかし、認知症になる前のその人の生活歴や好きなこと・嫌いなこと、人とのかかわり方など変わらないこともたくさんあります。
むしろ、認知症によりできなくなることは、その人全体から見たらごく一部なのかもしれません。
私がグループホームで働いている時の利用者さん。
雷の音が聞こえると、ソワソワと、テレビや電気の配線をいじったり、テーブルやイスなどの家具を動かしたり。
最初は、「認知症だから」落ち着かなくなっているのではないか、と勝手に考えていました。
しかし、あるきっかけでその人が長年勤めていた会社が落雷防護技術を研究している会社だと知り、雷の時に配線をいじるということは、本人なりの理由があることを知りました。
テーブルやイスを動かすことも、私たちには分からない本人なりの理由があったのでしょう。
きっと、「認知症」という部分にだけ目を向けていたら、その人の行動を理解・共感することができず、「やめてください。」だけで終わっていたかもしれません。
「認知症だから」で思考停止するのではなく「その人」に視点を向ける、その人を良く知るということはとても大切なことだと思います。
以上、認知症ケアが上手な人やっている3つの対応方法について書いてみました。
「学ぶ(まなぶ)」という言葉は「真似る(まねる)」という言葉の語源は同じだそうです。
認知症ケアでお悩みの方は、同じ事業所の「認知症の人とのかかわり方が上手だな。」と思う人を徹底的に真似すると色々と学ぶことができるかもしれませんね。
最後までお読みいただきありがとうございました。