こんにちは。
スター行政書士事務所の山田です。
このブログでは、私がこれまで20年以上高齢者福祉に関わってきた経験や介護保険制度の情報、福祉について考えていることなどをお伝えしたいと思います。
このブログが、少しでも介護の現場で頑張る皆様のお役に立てれば幸いです。
今日は、「支援者は結論ありきで支援内容を決めるべきではない」について。
介護の現場では、専門職と言われる人たちが支援内容(サービス内容)を先に決定し、それをご本人に納得してもらうように説明することがありませんか。
しかし、支援者は、結論ありきで支援内容を決めるべきではありません。
支援者は、これまでの経験や制度などに照らし合わせて、本人にとってどのような支援が必要かを考え、支援内容を決定することが多いのではないでしょうか。
確かに、経験や知識の量は、専門職としての条件だと思います。
しかし、その経験や知識、時にご利用者の個別性を邪魔してしまうことがあります。
例えば、自宅で一人暮らしをしている高齢者。
これまで布団の上で寝ています。
支援者は、最近、布団での失禁が増えてきたため、ベッドに変更したいと考えます。
しかし、本人は80年以上、布団で寝起きしており、ベッドを使ったことはない。
支援者のベッドの提案に難色を示しています。
このような場合「ベッドを利用してもらう」という結論ありきで、本人に説得する。
それ以外に選択肢がないように。
このように書くと、
「認知症の人に確認しても答えが返ってこない」
「判断能力が低下しているのだから、こちらで決めなければならない」
と言う人もいるでしょう。
確かに、認知症などによって、自分の考えていることを相手に伝えるのが難しくなっている人もいます。
しかし、時間をかけ関係性を築いたり、それまでのご本人の生活歴や性格などなど、生きてきた中でご本人が大切にしている価値観を把握する、その過程が大切なのではないかと思います。
その結果、支援者の考える合理的な答えと、ご本人の答えが異なることも出てくるでしょう。
ご本人は、支援者に「○○した方が良い」と言われれば、嫌とは言えない立場にあることが多い。
支援者が考える一般的な答えを押し付けてしまうのは、支援者自らが個別性を排除することになってしまいます。
ダイエットしようと思ったけど、お酒を飲んでしまう。
医師から運動を進められても、3日でやめてしまう。
そんな経験がある私からすれば、
「人は常に合理的な判断・行動をする生き物ではない。」
と思ってしまいます。
まずは、本人の意向が出発点。
意向を把握することが難しい方に対しては、時間をかけ丁寧に情報収集しながら関係性を構築していく。
あまりに少ない情報の中から、支援内容を判断することは、利用者の個別性はなくなり、支援者の経験や勘が頼りの支援内容になってしまいます。
支援者は、結論ありきで支援内容を決めるべきではありません。
以上、最後までお読みいただきありがとうございました。