こんにちは。
スター行政書士事務所の山田です。
このブログでは、私がこれまで20年以上高齢者福祉に関わってきた経験と介護職員向けの研修でお話してきたことなどをお伝えしたいと思います。
このブログが、少しでも介護の現場で頑張る皆様のお役に立てれば幸いです。
今日は「家庭的なケア・家族のようなケア」について。
介護の仕事をしていると「家庭的なケア・家族のようなケア」という言葉を聞くことがあります。
どのような意味で使われているかは、それぞれの事業所や職員の解釈によるものが多いのではないかと思います。
ここでは、私が考える家庭的なケア・家族のようなケアについて書いていきます。
まず、家庭的なケアや家族のようなケアと言う言葉は、きっとここ20年位前から出てきた言葉ではないかと思います。
きっと、これまでの施設ケアに対して使われることが多いのではないかと思います。
それまでの介護は、いわゆる集団ケア。
施設のスケジュールに合わせて利用者が生活をするケアです。
そこには、個別ケアという考え方は少なく、いかに効率的に多くの利用者を介護できるか、という視点に重点が置かれていました。
しかし、そのようなケアは、利用者を施設に当てはめようとする時点でどうしても無理が生じますし、「人」としての暮らしが営めているか、ということも課題があったのだと思います。
そのような時に出てきたのがグループホーム。
2000年の介護保険の開始と同時に制度化されました。
グループホームでは、それまでの施設での集団ケア、介護する側とされる側に分かれた状態から、少人数でそれぞれの利用者のペースに合わせ生活を送ってもらう、利用者がこれまでやってきたことをやってもらうという支援に変わりました。
その中で、これまでの施設ケアに対する言葉として、家庭的・家族的という言葉が使われたのではないかと思います。
しかし、この「家庭的・家族的」という言葉。
使う側が気を付けなければなりません。
まず、前提となるのが当然ですが、職員と利用者は家族ではありません。
家族のような関係だからすべての利用者に対してタメ口でいい、ケンカをしてもいい、というわけではありません。
もし、「ウチの事業所は家庭的な雰囲気が売りだから、すべての利用者にタメ口でいい」、と考えているのであれば、結局、以前のように個別性を無視した一人の「人」として尊重されないケアに戻ってしまいます。
家庭的、家族的といった言葉は、とても耳障りの言い言葉です。
しかし、使い方を間違えると、その言葉だけが独り歩きをしてしまい、結局、利用者にとって良い方向になっていないことがあるのではないかと思います。
以上、最後までお読みいただきありがとうございました。