先日、特別養護老人ホームの職員による虐待の報道がありました。
最近、施設職員による高齢者虐待の報道が増えていると感じるのは私だけでしょうか。
今回は、虐待報道によってどのような影響があるのか考えてみたいと思います。
安心して年を取れなくなる
「またニュースで老人ホームの虐待のことがやっていたね。私は、怖いから老人ホームは入りたくないわ。」
これは、70歳台の人から聞いた言葉です。
確かに施設職員による虐待の報道がされれば、このように考える人も増えるでしょう。
誰もが年を取るごとに、認知症や身体機能の低下によって介護が必要になるリスクが高まります。
場合によっては、老人ホームなどの介護施設を利用することもあるでしょう。
しかし、その施設職員による虐待が報道がされることにより、年を取ることに不安を感じる人も増えるのではないかと思います。
介護施設に対しての苦情が増える
虐待報道により、利用者家族からの苦情が増えることが考えられます。
介護施設として、苦情に対して真摯に対応することは必要です。
しかし、さきほど書いたように、「老人ホームは怖い所」といったマイナスのイメージがあった場合、施設の説明に納得ができないご家族が増えるのではないかと懸念されます。
ご利用者に認知症がある場合には、特に注意が必要です。
認知症による記憶障害などによって、ご利用者からご家族へ事実を伝えることは難しくなります。
したがって、ご家族への事故の連絡は、施設の職員のみが行います。
そこで職員の説明に納得せず、
「自分の父(母)が認知症で、職員をイライラさせてしまい虐待をされたのではないか。」
といった疑念を持ってしまうこともあるかもしれません。
介護の人材が定着しない
職員による虐待で、当該職員が逮捕された場合、逮捕後の職員の言葉が報道されていることがあります。
「忙しくてイライラしてやった。」
「認知症の人がいうことを聞かないからやった。」
など。
実際、介護施設は忙しい現場です。
しかし、介護の現場は大変なことだけではないはずです。
介護施設に対して偏ったイメージを持つことにより、新しく介護の仕事をする人はいなくなるのではないかと考えます。
また、現在一所懸命働いている職員の士気も下がってしまい、介護の仕事から離れてしまうのではないかとも考えられます。
虐待報道に慣れることは怖いこと
以上、虐待報道によってどのような影響があるか書いてきました。
虐待報道に慣れてしまうことはとても怖いことだと思います。
「施設職員による虐待が当たりの社会」
などあってはいけないはずです。