介護事業所のスタッフ中には、ご利用者のことを「○○ちゃん」とちゃん付けで呼ぶ人がいます。
私は、基本的には「ちゃん付け」はしないほうがいいと思っています。
ただ、今となっては、ご利用者を「ちゃん付け」するのには反対ですが、私も介護職員として働いていた20年前は、なんの疑問もなく「○○ちゃん」と呼んでいました。
その当時は、ご利用者を「○○ちゃん」と呼ぶことが、「利用者さんとの信頼関係につながる」「『○○ちゃん』と呼ぶことは一人前の介護職の証」と考えていたのかもしれません。
では、なぜ「ちゃん付け」をしないほうが良いと思うようになったのか。
それは次の理由です。
本人が望んでいるかわからない
私が「ちゃん付け」していたのは、認知症の人。
本人がどのように呼ばれたいのかわからいまま「認知症だから」という理由だけで、「ちゃん付け」していました。
例えば、長年学校の先生をしていた方。
きっと、認知症になって介護事業所を利用するまでは「先生」と呼ばれていたのだと思います。
その方が認知症になり、自分の孫のような年齢のスタッフに「○○ちゃん」と呼ばれるのは、本人の望んでいる事とは思えません。
一方、子どものころからずっと家族や友人、仕事仲間に「ちゃん付け」で呼ばれてきた人もいると思います。
このような人は、もしかしたら「ちゃん付け」で呼ばれたい、と考えているかもしれません。
いずれにしても、ご本人がどのような呼ばれ方を望んでいるのかわからない以上、一般的な「○○さん」と呼ぶのが良いのではないかと考えるようになったのが理由の一つです。
外に人に見せられない
20年以上前に、介護福祉士の実習に行った特別養護老人ホームで実習担当者が、「(タレントの細川ふみえさんと同じ「ふみえ」という名前のご利用者に対して)普段は、『ふーみん』と呼んで良いけど、ご家族が来たときには、『○○さん』と苗字で呼ぶのが機転の利く良い職員だよ」と、教えられたことがあります。
その時は、「なるほど。そういうものなんだ。」と思いました。
しかし、少し考えてみれば、家族がいるときのいない時で呼び方が違うなんて、なんだか変。
私たちが生活する中で、人の目を気にしながら相手の名前を変えることなんてほとんどないと思います。
人の目を気にしながら、仕事をするなんて何だか嫌だな、と思ったことも理由の一つ。
まとめ
元々、対して考えずご利用者を「ちゃん付け」していた自分が変わったのは、研修や本を読んでからです。
きっと、学ぶ機会がなければ、そのままご利用者の意向も分からないまま、外部の人の目を気にしながら、コソコソと「ちゃん付け」していたのかもしません。
「誰に対しても胸を張ってできないことはやらないほうがいい」
今はそのように思います。
以上、介護事業所の「ちゃん付け」について書いてきました。
最後までお読みいただきありがとうございました。