こんにちは。
スター行政書士事務所の山田です。
このブログでは、私がこれまで20年以上高齢者福祉に関わってきた経験と介護職員向けの研修でお話してきたことなどをお伝えしたいと思います。
このブログが、少しでも介護の現場で頑張る皆様のお役に立てれば幸いです。
今日は「介護現場で情報伝達を上手にする方法」について。
先日、こんなことがありました。
私が後見人として関わっているAさん。
特別養護老人ホームに入居しています。
その方のサービス担当者会議でのこと。
ケアマネさん:「Aさん、職員から『最近、トイレに間に合わなくてビショビショになっていることが多い』と聞いています。最近、トイレは、間に合わないことが増えていますか?」
Aさん:「・・・。」
ケアマネさん「職員はビショビショになっていたと話していましたよ。」
Aさん「そんな大げさな。ビショビショなんかじゃないよ。」
とのやりとり。
ご本人に、もう少し詳しくお話を聞いてみると、朝、トイレに行こうとして間に合わずに紙パンツの中に失禁してしまったことはあった。しかし、ズボンまでは濡れていなかった。との事。
ここで気になったのが、ケアマネさんが言った「ビショビショ」という言葉。
「ビショビショ」という言葉は、事実ではなく、職員さんが感じたこと思ったことをケアマネさんに伝え、ケアマネさんがご本人に伝えた言葉です。
職員さんの考える「ビショビショ」とAさんが考える「ビショビショ」でズレが生じていたのでしょう。
例えば、そのときに「尿で紙パンツの中が濡れていたけど、ズボンまでは濡れていなかった」と、事実を伝えていれば、ご本人との見解の違いが生まれず、不快な思いをしなかったかもしれません。
職員間、職員とご利用者、利用者家族なでで情報共有するとき、伝える側の解釈が入っていることはないでしょうか。
例えば、
「昨日は、帰宅願望があり、全然寝ませんでした。」
「昼食は、たくさん食べました。」
事実は、
「昨日は、『お父さんが心配しているから家に帰ります』と話し、22時から3時まで廊下を歩いていました。」
「昼食は、主食、副食共に9割食べました」
となります。
介護の現場では、
職員A(夜勤)→職員B(早番)→職員C(遅番)→職員D(夜勤)
といったように、又聞きで情報を伝達する場面が多くあります。
人は情報を伝達するとき、「①情報を把握」し「②その内容を記憶」し「③相手に伝え」ています。
上の①②③のどこにも思い違いや伝える側の感情などが入ってしまうことがあります。
職員Dは、確実な情報を得るなら、Aに聞くか、Aが作成した記録を確認することでしょう。
相手に伝える情報は、意識的に事実と解釈を分けて伝えることが大切です。
これを意識していれば、上手に情報伝達ができるようになります。
以上、最後までお読みいただきありがとうございました。