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【介護職員向けブログ】認知症で帰宅欲求のある人の事例

こんにちは。

スター行政書士事務所の山田です。

このブログでは、私がこれまで20年以上高齢者福祉に関わってきた経験と介護職員向けの研修でお話してきたことをお伝えしたいと思います。

このブログが、少しでも介護の現場で頑張る皆様のお役に立てれば幸いです。

 

今日は、「家に帰る」という認知症のAさんの事例。

Aさんは、老人ホームに入居する前は自宅で生活をしていました。

だんだんと自宅での生活が難しくなり、老人ホームに入居することになりました。

自宅では娘さんと二人暮らし。

その娘さんとは仲が悪く、Aさんは1階、娘さんは2階で生活をするという家庭内で別々の生活をしていました。

そのAさん。

特別養護老人ホームに入ってから、2~3カ月した頃から「家に帰る」というようになりました。

私の経験上、老人ホームに入居後すぐに「家に帰る」という方は何人もいましたが、Aさんのように入居後2~3カ月に「家に帰る」と言い出す人は珍しいと思っていました。

Aさんに家に帰りたい理由を聞いても何も答えません。

(脳梗塞の影響で言葉が出づらかったのかもしれませんが)

私も含め職員は、Aさんが「家に帰る」と言ったときは、

「今度、時間のあるときに送っていきますね」

「ご家族に確認してから帰りましょう」

などとその場しのぎの声掛けをしながら、Aさんが゛忘れて゛くれるのを待っていました。

しかし、そのような声掛けをしても、毎日「家に帰る」の繰り返し。

時には、一人で老人ホームの玄関から敷地外に出ていこうとすることもありました。

気づいた職員が、施設内に連れ戻そうとすると、とても怒り職員に手を上げようとすることもしばしば。

そのような状況だったため、緊急で担当者会議を開き、私がAさん連れて一度自宅に帰ってみることになりました。

自宅に帰ってみて思ったこと

事前に娘さんには事情をお伝えし、Aさんが行く時間は自宅の鍵を開けてもらうことになりました。

自宅に着くと、まず自分の名前が書いてある表札をジーと見た後、玄関から家に中を見ています。

時間にして1分ほど。

結局、家の中までは入らず、Aさん自ら車に乗り老人ホームに戻りました。

前にも書きましたが、Aさんは、娘さんと同居はしているものの、ほとんど関係性はありません。

もしかするとAさんは、

「自分が老人ホームに入ったことで、娘が自分の家を勝手に処分してしまったのではないか」

と不安になったのかもしれません。

そして、Aさんにとって「家に帰る」とは、

「自分が働いて建てた家が今もあるか確認したい」

ということだったのかもしれません。

その後、2~3カ月に1度は「家に帰る」ということがありました。

しかし、以前と違って、「この前Aさんの家の前を通ったら、ちゃんとAさんの名前の表札がありましたよ」と声をかけることで、安心するのか「家に帰る」と言うことはなくなります。

一人で施設の外に出ようとしたり、怒り出したりすることはありません。

それまで、ご本人はイライラし、職員は困難さを感じていたのとは大きな違いです。

まとめ

「家に帰る」といういわゆる帰宅欲求、帰宅願望。

認知症の人の見られる特徴かもしれません。

しかし大切なのは「認知症だから」帰宅願望がある、と決めつけるのではなく、ご本人なりの理由を探ることです。

認知症の人は脳の病気により、思考力や判断力、コミュニケーション能力に障害が出て、自分の考えや思っていることを相手に伝えることが難しくなることもあります。

それでもあきらめずに本人のことを知り、本人が抱えている課題を明らかにしていくことが認知症ケアに関わる人の専門性ではないかと思います。

 

以上、最後までお読みいただきありがとうございました。

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プロフィール

スター行政書士事務所 山田拓郎
1999年に社会福祉法人に入社し、特別養護老人ホームの介護職・生活相談員・ケアマネージャー、グループホーム管理者として勤務。

「一人ひとりが輝ける社会の実現を目指す」をミッションにスター行政書士事務所を開業。現在は、福祉事業所の開業支援や任意後見人として活動している。認知症ケア・虐待防止研修等の講師。

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