本日、相模原市認知症介護実践者研修自施設実習の課題設定が行われ、ファシリテーターとして参加しました。

この科目では、認知症の人のアセスメントを通じて課題を抽出します。

本日、ある受講生さんとお話した内容を書いていきます。

事例は、有料老人ホームに入居しているAさん。

2年前に有料老人ホームに入居したAさん。

Aさんは、入居後から「家に帰る。」と言って、ウロウロとホーム内を歩きまわり、落ち着かないそうです。

Aさんのことや事業所の環境を振り返る

まず、受講生さんと一緒にAさんの情報や事業所のケアの方法を振り返ってみました。

AさんのADLは自立しています。

日中の生活は、食堂で一人でボーっと過ごしたり、自分の居室で休んだりすることが多いということでした。

また、他のご利用者と話をすることもほとんどないそうです。

そして、「帰る」と言って落ち着かなくなる直前は、周りをキョロキョロと見まわし、表情が険しくなることが多いそうです。

スタッフとAさんの関わりは、Aさんが落ち着かなくなって初めて関わる程度で、それ以外はほとんど関わっていないことが分かりました。

現在、事業所では、Aさんが落ち着かくなった時、スタッフが散歩に連れ出したり、テーブル拭きなどのお手伝いをしてもらうなどの対応をしているそうです。

背景を考える

そこでAさんが「家に帰る」と言ってウロウロと歩き回る背景を考えてみました。

受講生さんは、Aさんの言動の背景には、

「もっと人と関わりたいのではないか?」

「自分も何か人の役に立ちたいのに、それができない環境にあるのではないか?」

と考えました。

その上で、

「帰る」と言ったときに、散歩や手伝いをしてもらうだけではなく、

「Aさんが食堂で一人でいるときに、スタッフが隣に座りもっと一緒に話をしよう」

「Aさんができることを他の職員と考えて、Aさんができることを一緒にやろう」と

と、言動の背景に対応した計画を立てました。

最後に

事業所に戻って4週間、実践を行います。

具体的な方法や、必要な情報は事業所に戻ってから他の職員などと検討するそうです。

Aさんにどのような変化が出たのか、実習生はどのように向き合い方を考えたのか、事業所全体の認知症ケアがどのように変わったのか?

4週間後の結果報告が楽しみです。