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【認知症ケア】研修や勉強は必要か。

介護職として仕事をする上で、認知症ケアの研修を行うことはなぜ必要なのでしょうか。

結論からいうと、認知症ケアに関する研修を行い、正しい知識を理解し、介護現場で実践することは、事業所を利用する認知症の人に提供するサービスの向上だけではなく、職員のストレス軽減にも必要なことだと思います。

この記事では、これまで約19年間高齢者施設で認知症ケアを実践してきた経験や、認知症介護実務研修等で講師をやらせていただいただいている経験から、なぜ認知症ケアに関する研修が必要かお伝えします。

この記事が認知症ケアの現場で働く皆様のお役に立てれば幸いです。

認知症ケアを学ぶ前

研修を受講する前、すなわち、正しい認知症ケアの知識が乏しい時に、どのように認知症の人に関わっていたのでしょうか。

実際に行っていた認知症ケアの一部をご紹介します。

帰宅願望 〇「明日、家族が迎えに来るから今日は泊まっていってください。」と声をかける(特養入所中のため、家に帰ることはない)

〇一人で外に出ないか見守る。

訴えがなくなるまで待つ。

入浴拒否 〇入浴ということを伝えず、脱衣室まで誘導する。

〇入浴ということを伝えない、または、だまして浴室に誘導する。

〇浴室で強制的に服を脱がす。

〇浴槽に入ってもらえないときは、シャワー浴にする。

車いすから立ち上がり転倒する、ベッドからから転落する。 〇安全ベルトを使用し、一人で立ち上がれないようにする。

〇ベッドにヒモで縛る。

介護保険の開始により、身体拘束は原則禁止となりましたが、忙しい介護現場の中でどれだけ効率よく事故のないようにするか、という視点のケアでした。

そして、このような対応をしても、帰宅願望が収まらない、入浴時に暴力を振るわれる、といったことが続くことに、負担感を感じることも少なくなかったです。

認知症ケアについて学んだ後

上記のような認知症の人と関わっていましたが、現在の認知症介護実践者研修の前に行われていた痴呆介護実践者研修(基礎課程)に参加する機会がありました。

研修は、認知症の人を介護する家族の視点や医療的なことなど、多くのことを学びましたが、受講した知識の中で最も介護の現場で実際に役に立ったのは、「認知症の言動に対応することだけが認知症ケアではなく、認知症の人の真のニーズを考える。」ということでした。

これまで、認知症の人の「帰宅願望」や「入浴拒否」「収集癖」などに対応することが認知症ケアだと考えていた私にとっては大きな気づきでした。

私は、認知症の人の言動に対するテクニック的なことばかりに目を向け、認知症の「人」に目を向けていなかったことを学びました。

研修を受講してからは、次のように認知症ケアが変わりました。

研修前の認知症ケア 研修後(ニーズを考えた後)の認知症ケア
帰宅願望 〇「明日、家族が迎えにくるので今日は泊まっていきましょう」

〇外に行かないように見守り

〇諦めるまで待つ

〇家族に電話をして声を聞いてもらう。

〇実際に家に帰る。

〇施設の中で、積極的に役割を持ってもらい、感謝の言葉を伝える。

入浴拒否 〇入浴ということを伝えない、またはだまして浴室に誘導する。

〇浴室で強制的に服を脱がす。

〇浴室に入ってもらえないときは、シャワー浴にする。

〇顔を覚えてもらうまで、しっかりを挨拶をしたり、日常的にコミュニケーションをとる機会を多くする。

〇絶対に無理強いしない。

〇在宅で生活していたときの入浴時間を聞く。

このように、「帰宅願望」や「入浴拒否」といった認知症の人の言動にどう対応するかという視点から、なぜ、そのような言動があるのか、背景を考えるようになりました。

そのためには、当然、ご利用者から話を聞いたり、今までとは異なる視点で認知症の人を観察することになりますので、結果として、忙しい中でも認知症の人と関わる時間が増え、その「人」を理解しようと努力をします。

当然、相手も「人」なので、認知症の人の考えていることや思っていることの全てがわかるはずはありません。

しかし、対応が困難な認知症の人のBPSD(行動・心理症状)は軽減することも多くありました。

対応が困難な人から変わってくるということは、職員にとっても負担が減少になります。

一つの事例を紹介します。

ある有料老人ホームでのこと。

夕食後に玄関近くの椅子に座って、「家に帰る。」と言う認知症の人がいたそうです。

最初はなぜ、そのような言動の背景を考えることをせず、訴えがなくなるまで、そのまま一人でいてもらい、訴えがなくなる20頃に職員が居室に誘導し、休んでもらっていたそうです。

色々とその人の情報を取集し、なぜ家に帰るという訴えがあるのか、ということを皆で検討したところ、ご本人にとっての「家」とは、自宅のことではなく、「ゆっくりと休める場所だったのではないか」と考えるようになりました。

そして、今まで一番最後の方に居室に誘導をしていたのを、一番最初に居室に誘導し、休んでもらうことにしたそうです。

その結果、「家に帰る」と言った訴えは聞かれなくなりました。

ご利用者のニーズに沿ったケアができただけではなく、職員にとっても負担感がなくなったという事例です。

虐待防止からの必要性

次の図は、平成 29 年度「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づく対応状況等に関する調査結果(添付資料)から引用したものです。

虐待の発生要因として、教育・知識・介護技術等に関する問題が最多となっています。

被虐待者のうち認知症高齢者の日常生活自立度Ⅱ以上の者は 75.8%であることから、認知症教育は必要であると考えます。

最後に

認知症ケアの知識を得ることは大切なことです。

最初にも書いたように、認知症の人や、事業所のためだけではなく、介護職員の負担感も軽減することができると思います。

認知症ケアの専門職として、「優しい声掛けをしましょう。」「認知症の人の言葉を否定しないようにしましょう。」などといったことだけではなく、専門職として必要な知識をもって、正しいケアを行うことが求められると思います。

以上、認知症ケアにおける研修の必要性について書いてきました。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

認知症の人の言動に困難さを感じている事業所の方、認知症ケアについて学んでみませんか?

当事務所では、事業所に訪問しての認知症ケアの研修を行っています。

ぜひ、ご相談ください。

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プロフィール

  
スター行政書士事務所 山田拓郎
【事業所理念】一人ひとりが輝ける社会の実現を目指します

福祉事業所設立支援/後見業務/研修事業

神奈川県相模原市

行政書士/介護福祉士/ケアマネージャー/認知症介護指導者(認知症介護研究・研修東京センター)/上級リスクマネージャー/パーソン・センタード・ケアと認知症ケアマッピング基礎コース研修修了

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