ソーシャルビジネスとは、「地域課題の解決を目的として、収益を上げつつ、継続的に取り組む事業体のこと」をいいます。

その事業体は、個人事業主、NPO法人、株式会社、一般社団法人など様々なものがあります。

この記事では、ソーシャルビジネスを起業するために、NPO法人の設立要件についてみていきます。

 

まず、NPO法人になるためには、以下の9項目の要件を満たす必要があります(特定非営利活動促進法(以下「NPO法」)12条)。

 

【目的に関すること】

1.特定非営利活動を行うことを主たる目的とすること(NPO法2条2項)

特定非営利活動とは、次の①と②に該当する活動のことをいいます(NPO法2条1項)。

① 次の20分野のいずれかに該当する活動であること(NPO法人法2条1項別表)

一 保健、医療又は福祉の増進を図る活動

二 社会教育の推進を図る活動

三 まちづくりの推進を図る活動

四 観光の振興を図る活動

五 農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動

六 学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動

七 環境の保全を図る活動

八 災害救援活動

九 地域安全活動

十 人権の擁護又は平和の推進を図る活動

十一 国際協力の活動

十二 男女共同参画社会の形成の促進を図る活動

十三 子どもの健全育成を図る活動

十四 情報化社会の発展を図る活動

十五 科学技術の振興を図る活動

十六 経済活動の活性化を図る活動

十七 職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動

十八 消費者の保護を図る活動

十九 前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動

二十 前各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める活動

 

②不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的とすること(NPO法2条1項)

「不特定かつ多数のものの利益」とは、社会全体の利益(公益)のことをいいます。

特定の個人・法人その他の団体の利益や構成員相互の利益は「不特定かつ多数のものの利益」に該当しません(NPO法3条1項)。

 

2.営利を目的としないこと(NPO法2条2項1号)

「営利を目的としない」とは、活動に伴い利益が生じても構成員(役員・社員)に分配しないことをいいます。

特定非営利活動にかかる事業以外の事業(その他の事業)として利益を目的とした事業を行うこともできます。

しかし、利益が生じたときは、本来事業である特定非営利活動にかかる事業のために使用しなければなりません(NPO法5条1項)。

 

3.宗教活動を主たる目的としないこと(NPO法2条2項2号イ)

宗教活動とは、宗教の協議を広め、儀式行事を行い、信者を教化育成することをいいます。

 

4.政治的活動を主たる目的としないこと(NPO法2条2項2号ロ)

「政治的活動」とは、政治上の主義を推進し、支持し、またはこれに反対することをいいます。

政治上の施策を推進し政策提言することは、政治的活動に該当しません。

 

5.特定の公職の候補者もしくは公職者又は政党の推薦・支持・反対を目的としないこと(NPO法2条2項2号ハ)

「特定の公職」とは、衆参議院議員、地方公共団体の議会の議員及び首長の職があたります。

また、特定の政党のためにNPO法人を利用してはなりません(NPO法3条2項)。

 

【社員に関すること】

6.社員が10名以上であること(NPO法12条1項4号)

「社員」とは、日常的に使われる従業員や会社員といった意味ではなく、総会で表決兼をもつ会員のことをいいます。

社員は役員(理事・監事)を兼ねることができます。

 

7.社員の資格の喪失に関して不当な条件を付さないこと(NPO法2条2項1号イ)

「不当な条件を付さない」とは、社員の自由意思による加入・脱退を保証するということです。

 

【役員に関すること】

8.役員報酬を受ける者は役員総数の3分の1以下であること(NPO法2条2項1号ロ)

「役員報酬」とは、役員としての地位や職務に対する報酬のことです。

会議に出席するための交通費や職員としての給与などは受け取る事ができます。

 

【その他】

9.暴力団もしくは暴力団の構成員でなくなった日から5年を経過しない者の統制下にある団体でないこと(NPO法12条1項3号)