認知症ケアの現場では、「不穏」という言葉を耳にすることがあります。

「不穏」の使い方として、

「Aさんは昨晩不穏で不眠だった」

「Bさんはオムツ交換時に不穏になり叩かれた」

「Cさんは不穏で日中ずっと徘徊していた」

など。

この記事では、

「不穏」ではなく「事実」に焦点を当てましょう!

ということを書いていきます。

「不穏」は受け手の評価の問題

まず、「不穏」という言葉は、受け手の評価の問題であって事実ではないということを確認する必要があります。

先ほどの例でいうと

評価 事実
Aさんは昨晩不穏で不眠だった Aさんは、一晩中大声で奥さんお名前を呼んでいた。
Bさんはオムツ交換時不穏で叩いた Bさんが寝ているときにオムツ交換をしようとしたら、「何すんの!」と言い、叩かれた。
Cさんは不穏で日中ずっと徘徊していた Cさんは、食事以外の時間は、出口を探して歩いていた。

といったように。

「不穏」より「事実」を意識する

認知症のご利用者の状態を表す時に「不穏」という言葉を利用することに慣れてしまうと、事実に視点を向けるのが難しくなることがあります。

その場合は、意識的に事実に視点を移さなければなりません。

私は、先ほどの例のような不穏という言葉を使って、ご利用者の状態を表すより、事実に基づいた情報が大切だと考えます。

なぜ、事実に視点をむけることが大切なのでしょうか?

それは、具体的なケアを導く上で必要になると思うからです。

例えば、

「不穏で不眠だった。」という情報しかなかったら、

「眠れるように安心した声掛けをしましょう。」

といった支援方法になるのではないでしょうか。

また、

「昨日は夜勤は大変だったね。」

で終わってしまい、具体的な支援方法に思考が及ばなくなってしまうことが考えられます。

(もちろん、労いの言葉をかけることは大切です。)

一方、「Aさんは、一晩中大きな声で奥さんお名前を呼んでいた。」と事実を捉えれば、他の情報にも考慮しながら、奥さんに電話をして話をしてもらったり、時間の許す限り面会に来てもらったり、というように、より個別性の高い、具体的な支援方法が出やすいのではと思います。

以上、介護現場での「不穏」について書いてみました。

最後までお読みいただきありがとうございました。