任意後見制度とは、認知症などにより判断能力が不十分な状況になった場合に備えて、あらかじめ契約を締結した任意後見人に、自分の生活維持や療養看護、財産管理のために必要な事務などを代わってしてもらうための制度です。
任意後見人を誰にするかは、法律上特に定めはなく、本人が信頼する人との間で自由に契約をすることができます。
例えば、子どもや親戚などに依頼する場合もありますし、行政書士や司法書士などに依頼する場合もあります。
では、任意後見契約を結ぶためには、どのようにすれば良いのでしょうか。
任意後見契約は、必ず公正証書で結ばなければなりません(任意後見契約に関する法律3条)。
公正証書とは、公証人がその権限に基づいて作成する文書のことをいいます。
公証人は、元裁判官や元検察官など法律に知識を有した人で、公証役場で仕事をしています。
ですので、任意後見契約を締結するときは、本人と受任者で公証役場に出向いて契約を締結します。
ただし、本人が、公証役場に行くことができない場合には、自宅や入所している施設に出張することも可能です(公証人の出張料がかかります。)
任意後見契約を公正証書で結ぶ主な理由は次の通りです。
任意後見契約が必要な人は、高齢であることが多いと思います。
すでに判断能力が低下しているにもかかわらず、不利益な契約を締結させられたり、弱い立場を利用されて契約をさせられていないか公証人が確認できるように仕組みになっています。
任意後見契約公正証書を作成するには、次の費用がかかります。
任意後見契約のほかに、財産管理等委任契約(認知症などで判断能力が低下する前から財産管理などの支援を委任する契約)や死後事務委任契約(お亡くなりになった後の葬儀や遺品の整理事務などを委託する契約)を締結した場合には、原則として、各11,000円と証書代が加算されます。
以上、任意後見契約の締結について書いてきました。
最後までお読みいただきありがとうございました。