こんにちは。

スター行政書士事務所の山田です。

 

このブログでは、私がこれまで20年以上高齢者福祉に関わってきた経験と介護職員向けの研修でお話してきたことなどをお伝えしたいと思います。

このブログが、少しでも介護の現場で頑張る皆様のお役に立てれば幸いです。

 

今日は「認知症になると何もわからない?」をテーマに書いていきます。

 

認知症のお母さんがいる方から「最近、毎日のように母から連絡が来て、お金の心配事や自分が夢の中に生きているようだ、というようなことを言うんです。しかも、私が仕事を終えて帰宅する18時頃を狙って。私の主人に相談したら、『もうお義母さんは、認知症で何もわからなくなっているんだから、早く施設に入れた方がいいんだ』と言うんです。」と連絡がありました。

確かに認知症になると、短期記憶に障害が出て、経験したこと自体を忘れてしまいます。

このお母さんで言えば、何度も娘さんに電話して、同じことを言っているのを忘れてしまっているのかもしれません。

娘さんや娘さんのご主人からすると、「お金は娘の私がしっかりと管理しているのに、なんで毎日同じことばかり言うんだ?母は、認知症になって何もわからなくなってしまった。」と思っているようです。

しかし、本当に何もわからなくなっているのでしょうか。

お母さんは、先ほど書いたように経験したことを保持することは難しくなっているようですが、分かること・できることもたくさんあります。

・お金のことを相談できるのは娘さんだとわかる

・娘さんのところに電話をすることができる

・娘さんが18時には仕事から帰ってくることが分かる

・自分がお金のことを心配していることが分かる

・お金は大切なものだとわかる

・相手に自分の思いを伝えることができる

・自分が夢の中にいるような不安なあることを娘さんに伝えることができる

などなど、できることの方が多いです。

決して何もわからない・できないわけではありません。

 

しかし、家族のように、昔のお母さんを知っている人からすると、過去のお母さんとどうしても比較してしまいます。

「昔の母はこんな状態ではなかった…。」

このように考えるのも当然だと思います。

きっと私も同じ立場になったら、自分の母に対して同じように思うかもしれません。

 

ただ、大切なのは認知症になったお母さんを「何もわからない人」と決めつけないことだと思います。

 

「認知症になっても心は生きている」

これは、私が認知症の研修をさせていただいた認知症介護研究・研修東京センターの理念です。

周りの人から「何もわからない人」と決めつけられたら、本人はとても傷つくでしょう。

逆に周囲の人の関わり方しだいで、認知症になっても生き生きと暮らしている人たちもたくさんいます。

 

認知症によって、分からなくなることやできなくなることが出てくるのは間違いありません。

しかし、「何もわからない人」とレッテルを張るのではなく、わからないこと(できないこと)とわかること(できること)をしっかりと理解することが大切なのかもしれません。

 

認知症の人から見たら「何もわかっていない」のは、自分たち認知症のではない人の方かもしれません。

 

以上、最後までお読みいただきありがとうございました。